雨のない日(A Day Without Rain)
エンヤのアルバム「A Day Without Rain」(2000年)の1曲目である。 エンヤらしさの情緒あふれる曲だ。私が32年前にオーディオ・スピーカー「SEQUEL Ⅱ」(マーティン・ローガン製)を買うきっかけとなったエンヤのアルバム「ウォーターマーク」(1988年)の2曲目「カースム・パーフィシオ」を聴いてからというもの、エンヤの世界が好きになったわけだが、それからというもの、私の人生も大きく変わっていったような気がする。音楽鑑賞や旅先での風景との出会いは、人間の感覚さえも変えてしまう力があるようだ。20代半ばで自分のオーディオ機器を買い揃え、30代後半になってマーティン・ローガンとの出会いは、自分の耳に視野をさらに広げた。音楽嗜好もさらに幅広く深くなっていったような気がする。ジャンルを問わず、固定観念は捨てるようにもなっていった。新たな出会いが自分の心を豊かにしてくれるし、その方向性は小説家を目指す側面にも確かな手応えで影響を与えてくれた。薫陶は自身が持てる感性をより豊饒にしてくれるのだ。生まれつきの才能などというものは無く、感性は、より豊かな体験と知識で磨かれて形成されることがよくわかったのだ。知性の構築にも理系の精緻さが必要なようである。ファンタジーは非科学的に見えても、それらの構成要素は創作上、実に科学的でもあるのだ。今の私にはファンタジーこそがエネルギーなのかもしれない。