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鯉の行方(ゆくえ)
            恋の行方(ゆくえ)

(後編)


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夏美と昇太はお隣りさんの家同士の縁もあって …… (前編)

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品質管理課の森山夏美さんの初恋物語の前編はすでに公開しました。純愛小説『なつみ』の後編は、目下検討中です。初恋が恋愛に至り、やがて、そのまま恋愛だけで終わってしまうのか、あるいは結婚へ発展してゆくのか、当の本人が主人公のため、夏美さんに確認するしかないのですが、夏美さん曰く、「そのうちにね。時間はたっぷりありますし」と。「きみたちがうらやましい」と私はつぶやいた。
「若さはカネで買えないし、いいなあ、青春って」と私。
「社長にだって、若い時には青春があったんじゃないですか?」と夏美ちゃん。
「まあねえ。遠い、遠い昔の話だけどね。人生はあっという間に過ぎちゃうから、若い時の時間は、宝物だよ」
「若い時の時間は宝物かあ。年を取ってから、判るんですね、うふっ」と皮肉げに夏美ちゃん。
「キミもそのうち、年を取ったら判るさ」
「まだ20代ですから、当分のあいだは高齢者にはなりませんけど」
「やめよやめよ、年齢のことは、話さないで。夏美ちゃんの恋物語を聞かせてもらったほうが、こっちは元気が出るし」
「へへへっ。社長って、恋バナが好きなんですね」
「ハハハッ。だって、恋バナする若い人って、特に女性は美しくなるしね。恋は魔法さ」
「恋は魔法か。女性は化けますしね」
「まあね。化けた女性はこわいけど、悲劇のヒロインにもなるし、元はと言えば、大体、男が悪いんだよなあ。可哀想な女性はいっぱい見て来たし、いや、誤解しないでね。四谷怪談じゃないんだけど、生まれつき障害を持ったりさ、いろんな不幸を背負って生まれて来る者もいるし、男はけっこう逞しくなれるけど、女性には男には理解できないハンディもあると思うから、男はやっぱり女性や子供をしっかり守る責務もあると思うんだよね。社会的責任感ってやつかな」
「そう、そうなんですよね。男性社会は、やっぱり、まだまだ封建的ですし、社長のような物分かりのいい紳士ばっかりだと、女性にはこの世がもっと楽に生きれるんですけどねえ。ねえ、社長」
「ボクにゴマすってる?」
「いいえ。ゴマだなんて。社長の見識は絶対にエラいと思います!」と夏美ちゃん。
「ゴマする()って、ボクは大好きだなあ。その笑顔がとってもキレイだし、媚びれる女性ほど、女性の特権でもあるし、男の媚びなんかだけはイヤだし、気持ち悪いしね。人間は素直が一番。素直さが人生を豊かにしてくれるしね」
「社長。いつもの人生訓、ありがとうございます」と夏美ちゃんは言って、部屋からそそくさと出て行った。部屋のドアが再び半分開いて、夏美ちゃんが顔を出すと、
「楽しいお話し、わたし、飽きてませんから」と言って、ニコリと笑いながら部屋から出て行った。

 (続きは今度 …… )


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(2024/09/01)

動画制作・動画撮影・短編小説 : 古川卓也
出演 : 品質管理課 森山夏美
2024年5月4日 厚狭川撮影
制作使用ツール:Vidnoz AI / Adobe Express / Adobe stock / Freepik / Pixabay





制作・著作 フルカワエレクトロン

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