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アシュリー・ワグナーの選曲

映画『ある日どこかで』(1980年米)を観るきっかけとなったのは、2008年~2009年にかけてフィギュアスケートのアシュリー・ワグナー選手がショートプログラムで使用していた曲を聴いてからである。なんて美しい音楽だろう。なんとしっとりとした優雅で切ない曲だろうという想いから、この映画が観たくなったのだ。レンタルDVDで借りて早速当時、この作品を映画鑑賞したわけだが、おどろいたのは音楽ばかりではなく、不思議な物語のほうだった。しかも主演は「スーパーマン」シリーズのクリストファー・リーヴという意外な役柄にも興味が湧いた。摩訶不思議なSF恋愛小説の映画化だった。と同時に、あの頃の時代でなければ生まれて来ない映画作品だ。わかりやすくて感銘深い映画だった。アシュリー・ワグナーの演技に注目するようになったのは、この映画との出会いからで、その後に出場して来る国際大会での彼女の演技には、いつも音楽に注目し、また応援するようにもなっていった。

最近最も印象深かったのが、ロックバンドのミューズの演奏曲で「エクソジェネシス:交響曲第3部」だ。この曲が収録されたCDアルバム「ザ・レジスタンス」(2009年)は全曲今でも自分の車でも繰り返し聴いている。ミュージカル映画『ムーラン・ルージュ』(2001年米)はレンタル開始頃から観ていた作品だが、近年アシュリー・ワグナーが演技に使用しているのはとても嬉しい。演技の採点に関係なく彼女の登場は、キーラ・コルピと同じで、登場が楽しみな存在だ。ミュージカル映画『ラ・ラ・ランド』(2016年米)をフリーのプログラムに使用してくれたのもとても嬉しい。もともと映画『ラ・ラ・ランド』は映画館でも観ていたので、TV中継でもアシュリー・ワグナーの登場を期待していたのだが、2018年全米選手権の模様をYouYubeでしか見られなかったのば残念だった。きっと不調だったのだろう。それにしても、ガーシュインの「サマータイム」を演技の使用曲としてすでに15歳の頃に選曲していたアシュリー・ワグナーの音楽感性は、とてもすばらしくプレシャスだ。

ところで、近年のフィギュアスケートには男女問わず、何かしらジャッジ方法があらぬ方へ間違っている気がしてならない。人間の限界や究極を求め過ぎて、選手たちの負傷が増えているのではなかろうか。特に女子シングルのフィギュアスケートの魅力は、ジャンプの成功率だけではない。氷のリンクで妖精のごとくしなやかに舞うエレガンスでもある。エレガンスと音楽の選曲による舞姫の調べこそ孤高の美しさとみているのだが、やたらジャンプばかりに注目して、テレビ解説が饒舌になってしまうのは、オペラ劇場でオペラ鑑賞を妨げる観客席のやかましい会話にも似てるから、もう少し自粛してほしいものだ。選手の演技中は静観してくれないと、興ざめにもなる。せっかくの音楽も台無しだ。演技終了後に思い切り饒舌になればよろしい。選手たちに対するエチケットやマナーはスケートリンクの会場だけでなく、テレビ視聴者側にも放送側は配慮すべきでは。地デジ放送のレベルの低さにも影響しているし、視聴率を稼ぐ前に、テレビを観ている画面の向こう側には大衆がいることをこの頃忘れているようだ。大衆は放送局が思っているほどバカではない。偽りや茶番にはすっかり飽き飽きしているのだ。日本の大衆は強くて賢く真面目な人達が多いのだ。現実離れを最も知る人達でもある。であるがゆえに、最も夢を大切にする民衆でもあるのだ。

アシュリー・ワグナー公式サイト
アシュリー・ワグナー・インスタグラム

(2019/02/27)

文・ 古川卓也
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