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シネマ日記 2021


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『ゴジラVSコング』(2021年 米)

『ゴジラVSコング』(2021)をレンタルBDの2Dで観た。日本生まれの破壊怪獣ゴジラと米国生まれのカワイ()ちゃん好きキングコングとの激突を描く超大作。VFX満載の豪華ハリウッド映画であるが、想定外の映像とサウンドトラックのすばらしい音響効果・楽曲等のドルビーアトモス音質に超感激! オーディオ・ホームシアターで久し振りに感想を書く気になった。『アクアマン』(2018)以来だろうか。年間100本は観ている映画ファンであるが、今年も「シネマ日記2021」は何を書こうか迷っているうちに、はや師走となり12月も中旬ではないかと焦って書いている。ま、とにかくサウンドが想定外の立体音像で、音質が抜群に超綿密に収録され、この描写時にはどういう効果音にしようかと、製作陣たちの楽しみながら作っているのがよくわかる。実に面白いサウンドトラックは最優秀といえる。3D映像のBDでも入手できたら誠に嬉しいが、とりあえずレンタルBDの感想だけはベタ褒めしておきたい。もちろん本編鑑賞は字幕オンリーで吹替にはあまり興味なし。

『ブラック・ウィドウ』(2021)、『ジャングル・クルーズ』(2021)、『モンスター・ハンター』(2020)、『クワイエット・プレイス 破られた沈黙』(2021)、『グリーンランド -地球最後の2日間-』(2020)、『ドント・ブリーズ2』(2021)、『ムーラン』(2020)、『ザ・プール』(2018 タイ)、『夜叉ヶ池』(1979/2021 日本)、『アリータ: バトル・エンジェル』(2019)、などなど書きたかった映画感想は山ほどあったのに、いろんな時間に追われて未練だけ残し、次々に登場して来る最新映画につい目移りしてしまった2021年だった。また、TVドラマ中国時代劇の華流作品との出会いもすばらしかった。中でも『楚喬伝~いばらに咲く花~』(2017 中国)は最も好きだった。『楚喬伝』続編が出来るのであれば、期待はしたい。主演チャオ・リーイン演じる楚喬のような女戦士が日本の映画界にも欲しいところだ。

さて、『ブラック・ウィドウ』、『ジャングル・クルーズ』、『モンスター・ハンター』などBDを購入し鑑賞したにもかかわらず、マンネリと思っていた『ゴジラVSコング』のレンタルBDでの驚くべき未体験音響だけは特筆しておかねばならぬと思った。エンドロールの最後を確認していると、ドルビー・アトモス・ビジョンとDTS・Xで映画製作はされたようで、映像・音質と共にかなり力の入った作品であることだけは間違いない。2018年から2019年にかけてハワイ、オーストラリア、香港で現地ロケがされている。監督のアダム・ウィンガードは可能な限り現地撮影を優先し、撮影不可能なロケ地のみスタジオでのセット撮影をするという映画製作へのこだわりとスタンスは、確かに作品に現われているように思える。VFX担当会社チームと音楽・音響効果担当チームとがいかに凄い、いい仕事をこなしたかが理解できる。

面白いエピソードとしては、音楽担当のトム・ホーケンバーグが、「怪獣映画のこの曲には地球上で最大のバスドラムが必要だと思うんだ」と主張して8フィート(約2.4メートル)以上のバスドラムの製作を依頼したが、業者から「10フィート(約3メートル)のバスドラムを覆うのに必要な大きさの牛は存在しない」と返答されたため、8フィートのバスドラムで妥協したと語っている(Wikipediaより)話しは笑える。最大級の大太鼓ドラムを望んでも、確かに巨大な牛サイズを探したって、そんな大牛はいないだろう。みんな似たような牛サイズであろう。牛皮にされる牛も可哀想だが、牛皮のバスドラムで、あの怪獣たちが醸すナチュラルな超低音の音域がスーパーウーファーで再現されていたとは、なるほど納得できる。1億年前の化石の大理石に乗ったわが家の49kgのスピーカーを唸らせて地響きさせるリアル感は、本当に怪獣たちがいるようだった。それ以外の激突バトルや重力反転の地下空洞に落ちてゆく場面は、さながら映画『アバター』(2009)や『センター・オブ・ジ・アース』(2008)をも想わせた。新しい趣向を凝らしたわりには、過去のアドベンチャー映画の数々の一端も垣間見えて、そうとは言え、アメリカ映画には精密な歴史と伝統を受け継ぐ要素も大事にしているので、それらの大集合がより進化した映像に膨らんでゆくのは何よりすばらしい。娯楽映画の醍醐味以外の何ものでもない。

物語の展開などは気にならず、新作100円のレンタル特別期間にたまたまゲオに行って、たまたま1本だけ返却されてたのを見つけ、これだけの最高峰映画が鑑賞できたのは幸せの極みというものだろう。土日にいつ行っても『ゴジラVSコング』はすべてレンタルされてて、なぜこんなにいつも人気があるのだろうと思っていたが、なるほど理由は判った。この作品の魅力が相当あることの証しなのだろう。いい歳した大の男が、ゴジラだのコングだの、どこか冷めていたのに、作品をあらためて観ると、確かに今時の映像技術のみならずド迫力の臨場感に満ち溢れたものだった。そして最後まで、守護神コングが小さな可愛らしい女の子と手話ができる友情と愛情のハッピーエンドは言うまでもない。映画は架空であっても心の表現は本物である。そのことを大事にしているハリウッド映画は大好きだ。後日、この『ゴジラVSコング』のBDは『クルエラ』(2021)のBDと共に購入した。いい映画は何度でも観たくなるのだ。『クルエラ』はレンタルをしていないので、『ラ・ラ・ランド』(2016)のエマ・ストーンが今度はどんな演技をしているのか楽しみで購入した。

(2021/12/14)
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文・古川卓也





制作・著作 フルカワエレクトロン