1983年(昭和58年)当時の有帆菩提寺山磨崖仏の写真です。筆者が撮影したもので今回初めて全体写真を公開します。その後、不遜な拓本収集家によって1988年(昭和63年)に石仏の苔が無謀なやり方で安易に除去され、洗浄されて、拓本がとられてしまい、今では苔むした石仏の面影は微塵もありません。苔や地衣類などの植物によって硬質な花崗岩の石仏が侵食されたり、亀裂や破壊をもたらされるようなことはありません。奈良時代前期に石仏が造立制作されて1250年間というもの、奇跡的に今日までこうして立ち尽くしているのです。永い歴史のなかで昭和以前までは山腹の崖にあり、樹林と苔むした姿が目立たず自ら身を守って来たとも言えます。 雨の日に苔むした石仏を拝むと、それはもう、えも言われぬ美しさをたたえていました。その美しさを思い出して書いた詩歌が下記の「12月の雨(山の石仏を詠む)」~詩集『砂丘のひまわり』です。 |
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文・古川卓也 (2006/12/15) |
制作・著作 フルカワエレクトロン |