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タイの写真家、サシン・ティプチャイ （Sasin_Tipchai）氏の世界が何とも素晴らしい。人も動物たちも心が溶け合っているようで、信仰と信頼が一体化して感動を呼ぶ。それは長くて鋭い雄大な角(つの)を持ったバッファローと農耕を今も続ける農家の逞しい人々の姿と同じだ。

精悍で逞しいタイの農家の姿を見事に写真作品として仕上げる写真家のサシン・ティプチャイ氏の画角は、素晴らしい被写体の構成のみならず、実にユーモラスな瞬間を見逃さない。下の画像は左側が「農家」で右側が「収穫」となっているが、よく見ると、田植えの苗を素足で逞しく運んでいるのは左側が男で、右側は女性である。タイのモデルなのか長い髪を結んで背中に垂らして、素足を前に上げた形が水田にも映り、楽しそうで、誇らしくも見える。カメラマン目線で捉えた畦道(あぜみち)は、三脚の雲台に付いた水準器の気泡を正確に睨んで、限りなく水平を保ち、特に右の農婦は上げた片足が動的な美しさを象徴して見事と言うほかない。鏡面対称となって水田に映り込む農婦とタイの農業は神々しくもおもえる。しかし、タイの米農家は日本と同じで、農業従事者の高齢化や少子化に伴い、若年労働力の枯渇や所得の不安定が課題となって、きびしいのも現実だ。であるがゆえに、写真家サシン・ティプチャイ氏のPR的な写真活動はとても大事な仕事ではなかろうか。泥臭くても力強さや心温かい撮影画角には、実に目を瞠(みは)るものがある。薄っぺらい生成AIのキレイでカッコイイ加工写真も面白くはあるが、このような普遍的で人間テーマをさりげなく表現してゆく写真家の姿勢には頭が下がる。日本には棲息していない生き物たちと共存し、共生して暮らしている国は本当にすごい。

　スポーツ

タイのスポーツといえば、すぐに格闘技のムエタイを思い浮かべるが、上のサシン・ティプチャイ氏のサッカー練習を撮る写真は実に感動あふれる色彩と画角で構成されていると思う。それもグラウンドや空き地でもなくて、どこかの水田で水しぶきを高くあげながらサッカーボールを蹴る姿は本気に見える。稲刈りも終わり、スコールにでも見舞われた時期なのか。どこへでも簡単に移動できそうな、質素な竹の枠で組んだゴールポストとクロスバーだけが目印で、ゴールラインは足首まである水面に消え、楽しそうに両手を伸ばした少年が真剣に待ち構えている。至近距離からの強いシュートに怯むこともなく勇敢だ。空には雨雲が漂い、天候にも左右されない強さが滲んでみえる。サッカー練習に打ち込む少年たちを見事に捉えて、撮影画像はどこまでも美しい。

　映画

美しいといえば、タイのアクション女優、ジージャー・ヤーニン主演の映画『チョコレート・ファイター』(2008年)を語らずにはいられない。当Webの「シネマ日記 2010-2011」を是非とも再度ご覧いただければ誠に幸いである。ジージャーのようにカンフーやテコンドーを極めたアクション女優は世界的にも数少ないと思う。貴重な世界的女優の一人といえる。近頃はVFXやCG技術が高度で優秀なので、そういった最先端のテクノロジーのおかげなのか、ワイヤーアクションで俳優にケガさせないことも大事とはいえ、基本的な身体能力の鍛錬を怠る俳優も多く見られる。アクションにはセリフや言葉よりも肉体改造が優先されるものだが、アクション俳優を仕事とするならば、肉体の鍛錬や技は必須のような気がするが、当人の情熱と根性次第ということかもしれない。

ついでに私が好きなアクション俳優を列挙しておきたい。あくまで肉体的格闘を前提とした俳優陣の中から思いついたままに列記してみた。下のジージャーの下に紹介しておく。また後で思いついたら追加しておきたい。

上のエレナ・マッキンリーさんは当店の友だちです。当Webトップページの動画にて彼女自身の「心に残った画像」をお願いして紹介していただきました。アジアが大好きとのことで、ジージャー・ヤーニンのファンだそうです。私がタイの写真家サシン・ティプチャイ氏の作品をいろいろと観てもらったら、このページのトップ画像「象とふれあう少女」が特にとても印象的で忘れられないとのことでしたので、ページトップに大きく飾らせてもらいました。

テーマ「心に残った画像」はまだ第一段階ですが、次回も続けてサシン・ティプチャイ氏の作品に触れてみたいと思います。