アメリカ航空宇宙産業の必需品
気の遠くなるほどの精度と、不良ゼロが絶対的に要求されるアメリカの航空宇宙産業の中枢ともいえるIC部品のハンダづけには、日本アルミット社製のアルミットKR-19RMAが使用されています。1988年4月、アメリカを訪問した日本アルミットの沢村社長は、その後多くの工場の作業現場を、自らの目で確かめてきました。この結果、スペースシャトルを作ったロックウェルインターナショナル社、映画『飛行機野郎』で知られるヒューズエアクラフト社、世界一の航空産業の頭脳としての役割を果たすボーイングエレクトロニクス社、その他、テキサスインスツルメント社、フォードエアロスペース社などが、東洋の国日本の小さな会社のヤニ入りハンダを使っていることが分かりました。
(日本アルミット株式会社 「KR-19」カタログより)
(特長) KR-19
- KR-19 のフラックスは、アメリカのフェデラル規格のRA規格を取得しています。JIS-Z-3283のA級に相等します。
- 活性剤として塩素化合物が入っていません。
- 従来のヤニ入りハンダでは付かない金属、付きづらい部品にはんだ付けできます。ステンレス、Znメッキ鋼板、Niメッキなど。
- はんだ付け不良が発生しません。はんだのキレがよく、はんだ付け性能が優れているため、工程内不良(未はんだ、余剰はんだ、ブリッジ、ハンダボール等)が一掃できます。
(特長) KR-19RMA
- KR-19RMAは、アメリカのフェデラル規格のRMA資格を取得しています。QQ-S-571E RMA認定品。
- 活性剤として塩素化合物が入っていません。作業性向上のため通常、塩素化合物が活性剤として添加されていますが、この塩素化合物は腐蝕の原因となり、電気絶縁性を劣化させます。
- フラックス残渣の信頼性が高く、安定した特性が得られます。
- はんだ付け後、無洗浄で使用できます。
- はんだ付け不良が発生しません。
(用途、使用実績)
- KR-19 自動車電装品、カーステレオ・ラジオ、テレビ、ビデオ、CD等。モーター、スイッチ、磁気ヘッド等のコテ式自動はんだ付け、他。
- KR-19RMA 高密度回路、チップ部品、コネクタ、フレキジャンパー線、QFP、SOP、磁気ヘッド、リレー、ビデオドラムの自動式はんだ、他。
品名 |
成分 |
固相温度 |
液相温度 |
規格 |
KR-19
60A |
Sn60、Pb残 |
183℃ |
190℃ |
JIS-Z-3283
A級 |
KR-19RMA
Sn60 |
Sn60、Pb残 |
183℃ |
190℃ |
QQ-S571E
RMA認定品 |
(概要) 現在、世界的にフロンによる環境汚染が問題となっていますが、アルミットKR-19RMAは、フロン洗浄を必要としません。すでに、フロン対策として国内外のエレクトロニクス分野での無洗浄化に導入され、生産の合理化と生産コストの低減を実現しています。アルミットKR-19RMAは、はんだ付け不良を無くすことを最大の特長とし、IC及び、高密度回路に絶対必要なハンダとして最大級の評価を受け、アメリカ航空宇宙産業の約80%がすでに採用しています。(同社資料より) |
KR-19およびKR-19RMA 価格一覧 下記製品は、Sn60 P-2 の標準品です。(本体価格と税込価格で表示)
標準規格以外のSn63(合金組成)及びP-3(フラックス含有量)は別途見積・入手可否・受注最少ロットの確認を要します。
線径(mm) |
0.3 |
0.38 |
0.5 |
0.65 |
KR-19RMA
500g巻 |
¥18,800
(税込¥20,680)
|
¥17,800
(税込¥19,580)
500g巻 |
¥16,800
(税込¥18,480)
|
- |
KR-19 または
KR-19RMA
800g |
- |
- |
- |
¥19,800
(税込¥21,780)
800g巻 |
線径(mm) |
0.8 |
1.0 |
1.2 |
1.6 |
KR-19 または
KR-19RMA
1kg巻 |
¥19,800
(税込¥21,780)
|
¥18,900
(税込¥20,790)
|
¥18,900
(税込¥20,790
1kg巻 |
¥18,900
(税込¥20,790)
1kg巻 |
画像クリックで拡大します |
日本アルミットの新規特注全製品のお取引は、すべて銀行振込(前振込)のみとなります
【DODスペック】
1987年、アメリカの軍当局は、DOD2000という新しいハンダづけのスペックを発表、ハンダづけの再検討と注意を喚起しました。それは、続発するクレームの原因の大きな部分が、ハンダづけにあることに気づいたからです。DODスペックの表紙の”ソルダリング・テクノロジー”という文字の輪の中には、船舶と航空機とミサイルの画像が描かれています。日本アルミットのアメリカ代理店であるセイカコーポレーションUSA、アルミット・デビジョンのリック・リチャード(営業担当)は、「今こそ、われわれがアメリカで拡販する最大のチャンスです」と言っています。アルミットKR-19RMAは、アメリカのMIL規格のRMAを取得。世界最高の品質が保証されているだけに強力な商品です。
(同社カタログより)
|
OVERVIEW OF DOD-STD-2000-1、-2、-3 |
|
SOLDERING TECHNOLOGY STANDARDS |
|
DODスペック
Cover page of DOD Specifications
【私の使用体験談】
かつて自分のオーディオケーブルに支障を来して、このKR-19(*アドバイス:オーディオ・楽器などの使用用途ではKR-19RMAもOK。非塩素系であることが最重要ですので、どちらでも構いません)のハンダを使用したことがあります。KR-19は他のハンダと違って値段が高く、普通に使う場合にはもったいないので、私の場合は特殊なケースしか使わないようにしています。ある日、突然、オーディオの音が片方のスピーカー(マーティン・ローガン「SEQUELⅡ」)からしか聞こえなくなってしまったのです。結局、原因はピンプラグの断線でした。オーディオケーブルはアクロテックの「6N-A2010」(1.5m用 ¥37,000)を使用していました。アンプの入力端子に差し込んだオーディオケーブルのプラグを少し動かすと音が鳴ったりしていましたので、すぐに半断線だと判りました。この6N-A2010は溶接スポットとなっていましたから、一体どんな風に中は溶接がしてあるのだろうと、あえて高級な接続ケーブルを分解し興味深くバラしてみますと、ハンダ付けというものは、その形跡はまったく無く、では、どこがどう溶接されていたのだろうかと、不思議な面持ちで考え込んでしまいました。
安い塩素系のハンダ付けは年数とともにやがて腐蝕し、インピーダンスが増え、信号回路に伝送ロスが生じてしまいますので、高級なオーディオケーブルには、各社メーカーもそれなりの対策がしてあるかと思われます。少なくともこの「溶接スポット」というカシメに近いプラグ接続では、意外と脆いということがよく判りました。プラグ内部の様子は、大変面倒くさいやり方で異常に複雑なプラグ接続がされておりました。私は時間をかけて、けっして素手の指が触れないように白い手袋をして、丁寧に、金属部分とケーブルの銅導体接触部分とが出来るだけ多くなるように、細かくハンダ付けをすることにしました(素手の指が触れたところは必ず早く酸化してしまいます)。ハンダ付けはなるたけ薄く塗るような感じで、盛り上げないようにして、KR-19を使いました。非塩素系のハンダを使うことは初めから念頭にありましたが、そのなかでも特に最高級品でなければ、ケーブル価格に似合ったものでなければ、ハンダ付けも意味がありません。KR-19はその意味では、最高級にして、さほど価格が高いとも思っていません。¥37,000のオーディオケーブルの修理に、¥1,380(2001年当時の価格)のハンダは安いものだと思っています。私がこのハンダを選んだ理由は、性能や価格は二の次でした。このハンダの利用実績例に信頼を持ったからです。アメリカの軍需規格MILのRMAを取得し、長年スペースシャトルに採用されているという実績です。自分が大切にしているものには、やはり最高の品質を求めたいからでした。
(文・古川卓也)
関連ページ 「風景が見える音の世界」(オーディオ・ホームシアター)
(2001/02/13)
【補記】
ハンダの寿命について
ハンダにも有効期限というものがあります。どのメーカーのハンダも製造後1年間というのが基準のようですが、では、実際に5年も10年も経てば使用できないかと言うと、いくらでも半田付けが出来てしまいます。ただ、ハンダのノリが悪かったり良かったりレベルの問題ということになりますが、本来、最も大切なことは、保存管理の仕方でずいぶん左右されます。ハンダは湿気に弱く、保湿性が高くなると、つきも悪くなります。酸化してしまうからです。酸化はハンダにとって大敵です。いくら新品でも半田付けする時に、加熱し過ぎても酸化しますから、手際の良い、素早い半田付けが基本となっています。ハンダは買ったら湿気を帯びないように保存しておきましょう。室温の低い部屋での保存は最も気を遣いましょう。保存の仕方が悪く、もし酸化がひどいようでしたら、ハンダ適量をやや多目にしフラックスが必要です。すぐれたハンダを生かすもダメにするのも、ちょっとした保存管理次第で大きくテクニックをも左右します。ハンダの寿命は手際良い作業と保存管理次第ということになります。
酸化しない世界最高峰のハンダ品質
日本アルミット製の非塩素系ハンダKR-19及びKR-19RMAが何年経ってもハンダ自体が光り輝いているのは、半永久的に酸化しないからです。世界最高峰の高性能である所以は、そのハンダ品質がそのまま作業性にもあらわれるからです。上手く溶接された金属同士が腐食を起こさないためにも、またマイグレーション(migration)を引き起こさないためにも、すなわちイオンレベルの樹枝状晶(デンドライト)による回路ショート等を引き起こさないためにも、せっかくのハンダ品質を維持できる保管状況もきわめて大切であるといえます。
(2003/10/08 - 2022/03/07)
「フラックス含有量について」
こちらで販売しているKR-19とKR-19RMAのフラックス含有量は次の通りです。
製品型番 |
合金名 |
フラックス含有量 |
組成(Wt%) |
固相温度(℃) |
液相温度(℃) |
KR-19 |
60A |
2.5% |
Sn60-Pb40 |
183 |
190 |
KR-19RMA |
Sn60 |
P-2 (1.6~2.6%) |
Sn60-Pb40 |
183 |
190 |
(2002/05/15)
よくある質問例「KR-19とKR-19RMAとはどう違うのでしょうか?」
(答)KR-19は一般電気・電子回路用・物理的金属接合に最適です。KR-19RMAは特に高精度電子回路用に最適だと思ってください。補足としては、こちらもご覧ください。
よくある質問例「KR-19はアルミニウムの半田付けに使えますか?」
(答)使えません。「アルミハンダと使用法の公開資料」をご覧ください。
(2002/05/08)
「1.0mmの100g巻って何m?」
1.0mm×1kg巻 = 200m 2.0mm×1kg巻 = 45m 0.65mm×800g巻 = 428m 0.5mm×500g巻 = 407m
ということだそうですから、えーと、つまり、1.0mmの100g巻は概算で20mくらいなのでしょうか。こりゃあ、引っ張り出して、実際に長さを測ってみるしかないかもしれませんね。
クリームはんだ(almit SRC Solder Cream) 価格一覧 (本体価格と税込価格で表示)
製品画像はこちらへ 鉛フリークリームはんだもあります
特長/HM-1 RMA シリーズ
- RMA認定品で優れた信頼性を誇ります。
- 印刷性に優れ、ニジミやダレが発生せず、安定した印刷量を確保します。
- はんだボールの発生がほとんどありません。
- 高いフィレットを形成するため、高い強度をえることができます。
- はんだ付け後は、無洗浄で使用できます。フロン洗浄を必要としません。
- ぬれ性が非常に優れているので、QFP(フラットICパッケージ)のいも付け不良がなくなります。
- このクリームはんだを使用すると、アメリカのフロン規制による輸入関税がかかりません。
品名 |
合金組成
合金の特徴 |
固相温度
液相温度 |
特性 |
500g入 |
Sn63 HM1-RMA V14L |
Sn63-Pb37
共晶タイプ |
183
183 |
高信頼性 |
¥18,900
(税込¥20,790) |
特長/SSHA シリーズ
- 優れた信頼性を誇ります。
- 印刷性に優れ、ニジミやダレが発生せず、安定した印刷量を確保します。
- 金メッキ、オーガニックコート基板等でも優れたヌレ性を誇ります。
- CSP、BGAの接合強度がアップします。
品名 |
合金組成
合金の特徴 |
固相温度
液相温度 |
特性 |
Sn63 SSHA-S |
Sn63-Pb37
共晶タイプ |
183
183 |
優れたヌレ性 |
SSHA SJ-S |
Sn57-Sb0.5-Ag1.5-Bi3-Pb
特殊合金 |
171
181 |
CSP・BGA対応 |
(参考資料:日本アルミット株式会社製品カタログより)
|